薬膳ってなんだろう

yakuzen

薬膳料理という聞きなれない中国料理が、飽食の時代から健康を考える時代に入って、俄然注目を集めるようになってきました。

薬を料理して食べる?薬膳料理が私たちを刺激したのは、薬と食べ物という奇妙な取り合わせでした。

私たちにとって薬とは錠剤や注射液のこと。その薬を飲んでいる間は、食べ物を制限されたり、食べてもおいしくない状態が続く。そんな状況が思い浮かんできます。

しかし、西洋医学が数々の医薬品を世に送り出すようになったのは、ここ百年足らずのことでしかありません。太古から近代の入口まで、人類が手に入れ大切にしてきたのは、経験的に知った自然の薬効でした。

例えば植物の葉の多くは殺菌作用があります。柿の葉や笹に寿司を巻いたりしたのは、自然にさからわず、自然とともに生きてきた人々の智慧の表れです。

薬膳料理と称される料理があると伝え聞いた時、私たちが驚き、そして思い出したのは、結晶としてとり出された薬の他に、もっと体に良い物が食べ物の中にあるということでした。

薬膳料理の基本は、病気になって治療するのではなく、病気になりにくい健やかな体を、毎日の食事に気を配ることによって、つくっていこうとするところにあります。

現存する最古の食養生の本といわれる、孫思濾(六二七~六四九)の『備急千金要方』にも、医師は病気の源をよく把握し、犯された箇所に応じて食物で治療するべきであると書かれています。

薬はそれでも治らなかった場合のみ使うようにという彼の指示は、副作用の問題がクローズアップされている現代医学への忠告とも予言ともとれるものではありませんか。

彼の言葉をもう少し深く考えてみましょう。

「食物で治療するように」ということは、必ずしも生薬を使えと言っているのではない、ということになります。

本書で紹介した薬膳料理には、生薬を使っていない料理がかなり入っています。しかし生薬といってもいろいろです。中にはしょうがや山椒のように普段薬だと意識していないものもあります。

これが本場の中国へ行くと、もっと重複する範囲が広くなります。つまり薬と意識せず、その風変わりな味や香りを、調味料や野菜の一種として賞味している、それが庶民の食卓に浸透した薬膳なのです。

食物を薬と考え、健康を保つために摂るといった考えは、中国にだけ限ったことではありません。

インドのカレーは、たくさんの香料をブレンドして作ることで知られていますが、カルダモン、ターメリックといったものは、昔はみんな薬として珍重されたものです。

また今ブームとなっているハーブも同じことです。

では日本に薬膳はなかったか。長寿食と世界から注目されている日本の食べ物に薬効がないはずがありません。

良質のタンパク質やビタミン、サポニンといったものを含む豆。大豆を使った味噌や豆腐、煮干、梅干、らっきょう、海草類、魚介類、野菜。

その土地で長く食べられてきた物は、その土地の人の生命を守ってきたものです。食物の薬効は、その土地に、また季節に合ったものを食べる時、最も効を発揮します。

料理はクリエイトです。食べ物の食効を知っていれば、新しい薬膳料理はあなたの手で創りだせるはずです。

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