生薬ってなんだろう

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生薬とは簡単に言ってしまえば、天然の薬物のことです。

その中には植物の根や皮、実や種、花といったものから、動物の角や胆、牡蟻の殼から石膏などの鉱物にいたるまでたくさんの種類があり、その数は、明代の医薬学者、李時珍の『本草綱目』によると千八百九十余種にのぼるとされています。

しかし天然自然のものとはいえ、薬は薬ですから、摂り過ぎると毒になるものもあります。中国最古の医学書『神農本草経』には三百六十五種の薬物が記載されていますが、すでにこの本から生薬は上中下の三品
に分類されています。

その分類によれば、上薬とは毒がなく長期にわたって服用しても害のないもので、人参、甘草、地黄、柴胡、桂枝、龍骨、牛黄など。中薬は病気を防ぐ力はあるが、毒性の有無をよく知って使わなければならない
もので、生姜、葛根、当帰、背薬、貝母、鹿茸などがこれにあたります。

下薬は病を治すために使用するもので、毒が多いので長期の服用をいましめられているもので、附子、半夏、桔梗、桃仁、杏仁といったような生薬です。

私たちは病気でなければ健康だと考えがちですが、なんとなくだるい、体が痛む、食欲がないといった症状に悩まされている人は大勢います。

調子は悪いが、検査値には異常がないといった状態を漢方では未病といいます。

漢方薬は、いくつかの生薬を組み合わせて配合したものです。生薬は自然のものですから一つの成分だけ入っているわけではありません。中には望む薬効とは反対の成分を含んでいる場合もあります。

反対の成分の働きで、本来の薬効がおさえられると、体にはマイルドになるわけです。しかしマイルドだからと言っても効果がないわけではありません。

それどころか西洋薬をしのぐ力を発揮することもしばしばです。漢方薬が効く秘密。それは診察方法にあります。漢方が診察の基本にしているのは、患者それぞれの体質です。

漢方薬が西洋薬より特に効くと認められているのは、西洋医学では治療の難しい慢性肝炎や婦人科系疾患、虚弱体質やアレルギー体質の改善など、体質を無視しては効果の得られないもの、長い時間をかけて治していかなければならないものが含まれるのはこのせいです。

しかし漢方が最初から目指していたものは、病気として症状が出てくる前に治療してしまうことでした。ですから。未病に注目し、その原因を根治する工夫をこらしてきたのです。

自分の体の弱いところを知り、日常的な食事に生薬をとり入れることで補い強めていく薬膳料理は、そうした考え方が生みだしたものです。

現在中国で薬膳料理に使われる生薬は、大東、人参、拘杞子、地黄、蒼茫仁、荻苓等(上薬)、生姜、葱白(ネギ)、当帰、貝母、烏梅、鹿茸等(中薬)、杏仁、桃仁等(下薬)といったものです。

しかし生薬は生薬ですから使いすぎてはいけないことは確かです。料理店によっては量の多さを誇るところさえありますが、薬は毒でもあることを忘れないように。

薬膳料理が健康に良いのは、単に生薬による薬効だけではありません。生薬はいっしよに使われた食べ物から、その食べ物が含んでいる薬効(本書では食効としました)を十二分に引きだす役割も果たしているのです。

そのためにも入れられる薬は適量を守らなければなりません。十分注意して使用してください。

なお、体質のタイプを、寒A、寒B、熱A、熱Bの四つにわけております。自分の体質をよく把握した上で、生薬を扱うことが大切です。

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